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J.S.K.S.増刊号

あの瞬間 (4年 山本大貴)

投稿日時:2022/09/17(土) 20:11

JSKS90期主将、HOの山本大貴です。

 

大会前のブログリレーの最後を飾ります。

同期のみんなの、それぞれのブログに詰まった想い、しかと受け取りました。

 

今回のブログを通じて、1個人として、またJSKS主将としての「JSKSへの想い」・「大会への想い」を伝えられれば幸いです。

 

普段あえて言葉にしていないような、不定形の”熱意”や”感情”を言葉にしたい。

そんなふうに考えています。

 

自分語りも多々ありますが、私の等身大の思いの丈です。

どうぞお付き合いください。

 


 

あなたが「最も追い求める瞬間」はどんなものだろうか?

答えは千差万別で、人によってはそんなにピンと来ないかもしれない。

 

私は、自分の中で明確な答えを持っている。

 

それは、

「良い準備に裏打ちされた方法をもって、共通認識を持った仲間と共に、格上を打ち破る瞬間」 だ。

 


 

高校生になった私は、ラグビーという競技に出会った。

 

私の出身校、都立青山高校のラグビー部は、「東京都の私立強豪チーム群に風穴を開けること」に異常なまでの熱量を注ぐチームだった。

 

  練習時間も限られ、体も小さく、経験も足りない。

  そんなメンバーでいかに格上を切り崩すか。

 

全員が目標への強固な共通認識を持ち、その目標だけを考えて過ごしていた。

 

そんなラグビー部での3年間は、全ての高校生活で考えうる中で最も充実した3年間だったと思う。

 

 

高校最後の大会、私たちの高校は私立強豪校を2点差まで追い詰めることができた。

 

その時の会場の雰囲気は、

言葉にできない、異様な雰囲気で包まれていたことを思い出す。

 

ハーフタイムの、「今日、何かが起きるんじゃないか。」という会場の期待感。

相手チームを偵察していたであろう他校の選手が衝撃を受ける姿。

試合後の、会場全体からの惜しみない拍手。

 

今までに経験のない、それでいてもっとも心地よく、虜になるような雰囲気だった。

 

あの瞬間を思い出すだけで鳥肌が止まらない。

 

 

「良い準備」に裏打ちされた闘い方を「共通認識を持った仲間と共に」ぶつける事の尊さと影響力を肌で体感した。

 


 

そんな経験を経て、大学に入学。

JSKSというチームに出会い、入部を決めた。

 

自分と違う経験やバックグラウンドを持つ同期、プレーも上手で尊敬できる先輩が数多くいて、すぐにJSKSの楽しさに惹かれた。

 

 

これまでと一味違う、多様性に富んだ、豊かな日々を過ごす事ができた。

 

 

そんな想いと同時に、

 

「高校時代の様な、真剣な”格上への挑戦”は大学ではもうできないんだな」

 

こんな落胆の想いも抱いていたのが正直なところだ。

 

 

この想いを抱いたのは、言葉にしなくてもなんとなく共通認識的に漂っていた、

「所詮JS」 という感じの雰囲気に気づいたからなのかもしれない。

 

 

  準体育会のクラブだが、捉えようによってはただのサークル。

  他のクラブに当然勝ちたいには勝ちたいけど、、

  真剣にやるんだったら體育會に入ってる。

 

こんな感じの雰囲気。

 

先輩方の名誉のために申し上げると、当然全員がそうだったわけではない。

 

しかし、全体の中にこのような認識が一定存在してしまっていたのは事実だと思う。

 

未経験の部員に基礎を教えるような環境を築けなかったのも、この雰囲気が原因の一端なのかもしれない。

 

 

「多様性」という言葉は、時に無責任だと感じた。

 

 

こんな事情もあいまって、

私は「慶應JSKSに所属してラグビーをしている」という事を積極的に語れなかった。

 

他の大学で部活動に所属している高校の同期と比較して、自分が心待ちにしている「あの瞬間」を体感できる場に立っていないことに、ある種の引け目を感じていたのもあるだろう。

 

 

JSのことは好きだったが、その雰囲気を認められなかった以上、自ら「JSというチームが好き」と口にすることはなかった。

 

チームの部員の中で目標の位置づけがフワフワしたまま、クラブ選手権で同じチームに負ける日々。

 

尊敬する先輩方と「あの瞬間」を共有できないままシーズンが終わっていくのが悔しくてしょうがなかった。

 

 

そして4年になり、主将という役割としてチームを創っていく存在になった。

 

 

オフシーズンに考えて考え抜いた結果、

 

「制約の中でも最大限にラグビーに熱狂し、仲間と共に本気で格上に挑戦できるチーム」

 

これまでの経験と、少しのエゴを加えて、こんなチームを創ると決心した。

 

 

自分の所属するチームが「所詮」なんて共通認識で終わってたまるか。

 

他の事にも力を入れる中で、可能な限りラグビーに熱中することが人生の財産になるはず。

「多様性」が言い訳になってたまるか。

 

覚悟をもって入部してきた部員、特に大学からラグビーを始めた部員になんとなく4年間を過ごさせる環境も変えたかった。

 


 

現在、JSKSはどんなチームだろう。

 

 

春シーズンの、チームの変化に戸惑った部員もいるだろう。

頭を使うことも増え、理解に苦しんだ部員もいるだろう。

新たな挑戦の連続に、違和感を感じた部員もいるだろう。

 

 

だけど、みんな信じて一緒にプレーし続けてくれた。

その結果、間違いなく、全ての面でJSKSというチームは飛躍的に向上した。

 

特に合宿。

 

合宿での苦労、そして熱狂。同期のブログの通りだ。

こんなにもチームが1つになる瞬間を肌で感じたことはない。

 

 

あんな合宿を乗り切れたのは、俺を除く4人の幹部に加え、一緒にチームのことを考えてくれた同期のおかげだ。

 

本当にありがとう。

 

 

シーズン当初に決心した、「チームを創る」という、やや上から目線の考え方は誤りかもしれない、とつくづく感じる。

 

それは、本当に素晴らしい後輩たちに恵まれたからだ。

 

幹部はきっかけを与えるだけ。

優秀で無邪気な後輩たちが、自ら考え、行動してくれた。

 

後輩が「JSKSというチームが本当に好きだ」と口々に言ってくれるようになった。

 

「所詮JS」という、なんとなく存在していた価値観が徐々に薄まっているのが目に見えてわかり、本当に嬉しかった。

 

みんな、入部してくれてありがとう。

 

 

こんなチームは、自分だけじゃ到底創りえない。

 

「チームへの帰属意識」を真剣に考えて、行動してくれた雄大・中山という、頼れるリーダーたちのおかげだ。

 

本当にありがとう。

 

 

 

振り返ると、俺1人じゃ何もできなかった。

 

一緒に創り上げるっていうのがあるべき姿なんだと気づく。

 


 

いよいよクラブ選手権開幕前日。

 

現在は、少しの緊張と、それを上回る「期待に溢れる胸騒ぎ」に包まれている

 

思えば、”本気の準備を済ませ、同じ想いを持つ仲間と共に、強敵に挑む前” はいつもこんな想いだった気がする。

 

やっと追い求める瞬間が訪れるかもしれないと、ワクワクする気持ちが止まらない。

 

私はJSKSというチームが大好きだ。

 

今なら胸を張って言い切れる。

 

あとは、そんなチームの仲間全員で目標を成し遂げ、「あの瞬間の先」を共有するだけ。

 

「善戦した」はもういらない。

 

みんなと、その先を体感したい。

 

 

私が新歓の時に必ず伝えていた言葉にこんなものがある。

 

「入部してくれたら、絶対に後悔させない。」

 

 

今一度伝えたい。

絶対に誰も後悔させない。

 

”下剋上” を一緒に成し遂げよう。

 

 

 

 

JSKS主将 山本大貴


 

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